金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2014年09月30日

後天性von Willebrand病:VWFpp/VWF抗原比

論文紹介です。

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後天性von Willebrand病:VWFpp/VWF抗原比による寛解予知」

著者名:Lee A, et al.
雑誌名:Blood 124(5): e1-e3, 2014.


<論文の要旨>

著者らは、自己免疫性疾患を有しvon Willebrand因子(VWF)に対する抗体が出現した後天性von Willebrand病(AVWS)の症例を報告しています。

診断時には、VWF活性、VWF抗原、VWFマルチマー、第VIII因子活性はほとんど検出されませんでしたた。

VWFプロペプチド(VWFpp)は上昇しており、またVWFpp/VWF抗原比(VWFpp:Ag)は高度に上昇しており、VWFクリアランスの上昇が示唆されました。


免疫抑制療法を行ったところ臨床症状は軽快したもののVWFpp:Agは高値(正常の2倍)が持続したために、VWF抗体は残存しVWFのクリアランスは亢進したままと考えられました。

すなわち、VWFの産生が亢進しているために代償されている病態と考えられました。


本例は、VWFpp:Agが再度著しく高値となった時点で再発しました。

その後、VWFpp:Agが正常化したときに初めてVWF抗体は検出されなくなり完全寛解となりました。


以上、再発と寛解を繰り返すAVWSにおいて、VWFpp:Agが寛解状態を評価する上で有用と考えられました。




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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:58| 出血性疾患