金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2014年10月09日

ビタミンK欠損症:胆汁酸吸収不全症/コレスチラミン

論文紹介です。

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クロスミキシングテスト


「89才男性におけるビタミンK欠損症に起因する出血 」

著者名:Seguna R, et al.
雑誌名:Lancet 384(9942): 556, 2014.

<論文の要旨>

89才の男性が自宅内で転倒し軽度の頭皮裂傷をきたしたところ、止血しないために来院しました。

1週間前には手根管開放術が行われていましたが、左手の腫脹と皮下出血が進行していました。

既往歴には、特発性胆汁酸吸収不全症がありました。

コレスチラミンとビタミンDを内服していましたが他薬の内服はありませんでした。


PT>180秒、APTT132.5秒と著しく延長していましたが、トロンビン時間は正常でした。

APTTの混合試験では、APTTの延長が補正され、インヒビターは否定されました。

4つのビタミンK依存性凝固因子は1〜6%に低下していました。

経静脈的にビタミンK10mgを投与を開始し、止血目的にプロトロンビン複合体製剤(30単位/kg)を投与したところ、20分後には、PT&APTTは正常化し、優れた止血効果がえられました。


ビタミンKは、ビタミンK依存性凝固因子(半減期の短い順に、VII、IX、X、II)の肝における産生に必要な回腸末端で吸収される脂溶性ビタミンです。

ビタミンKの吸収のためには、腸管絨毛が機能していること、胆汁酸の存在、脂肪の吸収が必要です。

コレスチラミンは胆汁酸の捕足剤であり、胆汁酸吸収不全とともにビタミンK欠乏症を伴うことがあります。

胆汁酸吸収不全症やコレスチラミン服用者では、脂溶性ビタミン(ビタミンK, A, D, E)欠乏症をきたしうることを考慮すべと考えられました。


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参考:血栓止血の臨床日本血栓止血学会HPへ)
 

投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:47| 出血性疾患