血液凝固ヒトXII因子:XII因子阻害薬は理想的な抗血栓薬か
論文紹介です。
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「血液凝固ヒトXII因子を巡る最近の動向」
著者名:寺澤秀俊、他
雑誌名:日本血栓止血学会誌 25: 411-422, 2014.
<論文の要旨>
XII因子はin vitroにおいて内因系凝固経路の開始因子として必須の凝固因子です。
XII因子欠損患者は出血傾向を示さないこと、その活性化に必須の陰性荷電物質の生体内での存在が不明であることから、XII因子のin vivoの役割は長年謎に包まれていました。
近年、生体内物質によりXII因子が活性化し、内因系凝固経路やキニン-カリクレイン系が活性化することが明らかとなり、XII因子と病態との関連も示唆されています。
XII因子欠損型マウスが作製されたことを契機に、XII因子の生理的な意義が見直されつつあります。
XII因子欠損型マウスは血栓形成に抵抗性を示します。
XII因子活性を特異的に低下させることにより、出血を助長することなく病的血栓形成を防止できることから、XII因子阻害薬は理想的な抗血栓薬となる可能性を有しており、種々の薬剤候補が見出されています。
凝固異常や血栓傾向のスクリーニングとしてXII因子活性が測定された約9000人を活性値100%以上から10%以下まで10%ごとに11区分し、観察期間中の死亡率(死亡原因は特定しない)を調査したところ、XII因子活性の低下とともにその危険率はリニアに高まり、XII因子活性が10−20%の群では100%以上の群に比べて、危険率は4.7倍高かったです。
しかし、XII因子活性が10%以下になると100%以上と同等の危険率まで低下しました。
この傾向は、虚血性の心疾患による死亡に限っても同様でした。
XII因子活性と死亡リスクに関する大規模な免疫調査が待たれます。
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参考:血栓止血の臨床(日本血栓止血学会HPへ)
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:55| 出血性疾患