重症第XIII因子欠損症の臨床症状と治療
論文紹介です。
関連記事:APTT、血友病、後天性血友病、第V因子インヒビター、第VIII因子インヒビター、PT-INR
「重症第XIII因子欠損症における臨床症状と治療」
著者名:Naderi M, et al.
雑誌名:Int J Hematol 100: 443-449, 2014.
<論文の要旨>
先天性第XIII因子欠損症はまれな出血性素因ですが、東南イランでは発症頻度が高いことが知られています。
著者らは190症例を対象に検討を行っています。
イラン人に最多のFXIII-Aサブユニット遺伝子異常(Trp187Arg)は全例で解析されました。
臨床症状と、頭蓋内出血(ICH)、流産、第XIII因子欠損症の新生児の治療内容が記載されました。
新生児は2群に分類されました。
I群:標準量のフィブロガミンP(FP:10-26IU/kg)投与
II群:高用量投与(60-80IU/kg)、36ヶ月間
その結果、全症例がTrp187Arg(ホモ接合体)遺伝子異常でした。
臨床症状としては、臍帯出血、血腫、遷延する創部出血が高頻度にみられました。ICHも高頻度にみられ、行動発達異常や失語症をきたしていました。
ICHはFP10-26IU/kgで治療され、流産はFP10IU/kg(妊娠中は2週間毎;懐妊前は同量を予防的に4週間毎)で治療されました。
FP高用量が使用されたII群においては、血栓症の合併をきたすことなく、出血エピソードを減らしました。
イランでは、Trp187Argが最も高頻度にみられるFXIII-Aサブユニットの遺伝子異常であり、FPは有効な治療薬と考えられました。
また、FP高用量は、新生児において安全かつ有効と考えられました。
<リンク>推薦書籍「臨床に直結する血栓止血学」
播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)へ
金沢大学血液内科・呼吸器内科HPへ
金沢大学血液内科・呼吸器内科ブログへ
研修医・入局者募集へ
参考:血栓止血の臨床(日本血栓止血学会HPへ)
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:32| 出血性疾患