血友病Bと長時間作用の糖ペグ化遺伝子組換え第IX因子製剤
論文紹介です。
「血友病Bに対する長時間作用の糖ペグ化遺伝子組換え第IX因子製剤」
著者名:Collins PW, et al.
雑誌名:Blood 124: 3880-3886, 2014.
<論文の要旨>
治療歴のある血友病B患者74症例(FIX活性≦2IU/dL)を対象に、糖ペグ化遺伝子組換え第IX因子製剤(半減期が長くなっている製剤)であるnonacog beta pegolの安全性および有効性に関する多国籍間無作為単盲見臨床試験が行われました。
52週間の予防投与が行われた症例群(10IU/kgあるいは40IU/kgを週に1回投与)あるいは28週間の出血時投与症例群にふり分けられました。
その結果、インヒビター発症者は一人もなく、安全性には問題ありませんでした。
出血エピソード345回に対する治療が行われ、成功率は92.2%でした。
年間出血率(ABRs)の中央値は、40IU/kg予防投与群では1.04、10 IU/kg予防投与群2.93、出血時間投与群では15.58でした。
40 IU/kg投与群のうち10/15例(66.7%)では出血のエピソードがなかったのに対し、10 IU/kg投与群では1/13例(7.7%)でした。
健康関連QOLは、EuroQoL-5 Dimentions visual analog scale scoreで評価され、40 IU/kg予防投与群では中央値75から90に上昇しました。
以上、本薬は認容性にすぐれ、出血エピソードに有効であり、予防投与ではABRsを低下させるものと考えられました。
40 IU/kgの週に1回の投与は、66.7%の症例で出血の問題を解決し、健康関連QOLを改善しました。
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:12| 出血性疾患