von Willebrand病(2型)の治療法:デスモプレシン
論文紹介です。
「von Willebrand病(2型)の治療法」
著者名:Tosetto A, et al.
雑誌名:Blood 125: 907-914, 2015.
<論文の要旨>
2型von Willebrand病(VWD)は、von Willebrand因子(VWF)構造や機能の幅広い質的異常をきたしており、多様な出血傾向をきたします。
現在の分類法によりますと、2型VWDには4病型が知られており、それぞれに特有な表現型と治療法が知られています。
現在可能な臨床検査により、VWDの病型分類が可能です。
正確な分子学的特徴の解析は今もって複雑ですが、大多数の症例ではその解析がなくても適切な治療を行うことが可能です。
デスモプレシンは量的欠損症である1型VWDと比較して、2型VWDでの使用は限定的です。
デスモプレシンは、2型VWDのうちマルチマーパターンがほぼ正常である2M型に使用されることが最も多いです。
しかし、臨床検査によってデスモプレシンに対する反応を正確に予知することができないため、2型VWDの全患者でデスモプレシン投与試験を行うべきです(2B型を除きます)。
血漿由来VWF/FVIII濃縮製剤による補充療法は、全症例に対して安全な主たる治療法です。
とくに、デスモプレシン無効例や大手術や大出血のために持続した止血能の正常化が必要な場合に、中心的な治療法となります。
出血の既往歴は出血リスクと相関しているために、適切な止血予防治療を行う上で充分考慮すべきです。
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播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)へ
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参考:血栓止血の臨床(日本血栓止血学会HPへ)
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:06| 出血性疾患