出血性疾患の種類と治療(5)線溶過剰亢進
<出血性疾患の種類と治療>(5) 線溶過剰亢進
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最も典型的な病態は線溶亢進型DICです。
この場合、出血症状の原因としては、血小板数の低下や、フィブリノゲン低下などの凝固異常の要素も加味されます。
ただし、線溶亢進型DICの出血の原因として最も大きな要素は過剰な線溶活性化です。
血小板数が例えば数万/μLのDICの場合、線溶抑制型DIC(敗血症など)ではほとんど出血症状はみられませんが、線溶亢進型DICでは高度の出血症状をきたしやすいです。
これは、出血の原因として血小板数よりも線溶活性化の方が大きいことを示しています。
線溶亢進型DICでは、プラスミン-α2プラスミンインヒビター複合体(PIC)が著増していますが、α2プラスミンインヒビター(α2PI)が著減した場合に、出血症状が高度になりやすいです。
線溶亢進型DICに対しては、抗線溶作用も強力な合成抗トロンビン薬であるメシル酸ナファモスタット(フサンなど)が有効です。
ただし、全身転移を伴った固形癌に起因する線溶亢進型DICではメシル酸ナファモスタットによるコントロールでは不十分なことも多いです。
この場合、ヘパリン類とトラネキサム酸(トランサミン)の併用が、線溶亢進型DICの致命的な出血に対してしばしば著効しますが、安易なトラネキサム酸の使用は全身性の致命的な血栓症を誘発することもあり、トラネキサム酸の使用にあたってはかならず専門家にコンサルトする必要があります。
動脈瘤などの血管疾患に起因した線溶亢進型DICでは、DICのために点滴治療が行われていると外来移行が困難な場合があります。
このような場合は、ヘパリン皮下注(在宅)や半減期の長いヘパリン類であるダナパロイド注の外来での投与が治療選択肢として挙げられます。
今後、新規経口抗凝固薬による治療も行われる時代がくるかも知れません。
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:24| 出血性疾患