金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2015年05月23日

血栓傾向:CBT

CBT(コアカリ)の復元問題と解説です。

血栓傾向になりにくいのはどれか.

a 長期臥床

b 肝硬変

c 多発骨折

d うっ血性心不全

e ピルの常用



(問題傾向)
血栓傾向をきたす疾患、病態には先天性と後天性がありますが、この問題では後天性に関して質問しています。

(解説)
a:長期臥床状態では下肢の筋肉ポンプが十分に作動せずに、下肢の血流状態が不良となります。そのために、深部静脈血栓症(DVT)をきたしやすくなります。

b:肝硬変においては、血小板数および凝固因子が低下するために、易出血状態となります。
PTやAPTT(とくにPT)は延長します。

c:重度外傷,特に,多発外傷,意識障害の遷延する頭部外傷,運動麻痺を伴う脊椎骨折や脊髄損傷,重症骨盤骨折,多発性または複雑な下肢骨折は,静脈血栓塞栓症の高リスク群です(肺血栓塞栓症/深部静脈血栓症(静脈血栓塞栓症)予防ガイドラインより)。
安静臥床状態になることや、組織因子が血中に流入することが原因と考えられます。

d:うっ血性心不全では静脈血流不全状態となり、血栓傾向となります。

e:経口避妊薬ピルを内服しますと、凝固阻止因子であるプロテインSが低下して血栓傾向となります。


(確認事項)

血栓性素因(代表的な疾患・病態)

<先天性>
・    先天性アンチトロンビン欠損症
・    先天性プロテインC欠損症
・    先天性プロテインS欠損症 など

<後天性>
・    脱水、多血症
・    肥満
・    妊娠
・    下肢骨折・外傷、手術
・    下肢麻痺、長期臥床、ロングフライト
・    悪性腫瘍
・    心不全、ネフローゼ症候群
・    経口避妊薬
・    抗リン脂質抗体症候群(APS)
・    薬剤性:トラネキサム酸(トランサミン)など

(正答)b


<リンク>
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:28| 医師国家試験・専門医試験対策