金沢大学・血液内科・呼吸器内科
※記事カテゴリからは過去の全記事をご覧いただけます。
<< 前のエントリトップページ次のエントリ >>
2015年05月24日

出血時間・PT・APTT:CBT

CBT(コアカリ)の復元問題と解説です。

写真で示されたものが減少すると異常値を示すのはどれか(註:血小板の電顕写真).

a 出血時間

b PT時間

c APTT時間

d ビリルビン値

e ビタミンB12


(問題傾向)
電子顕微鏡写真では血小板が示されています。
つまり、血小板数が低下すると異常値を示すのはどれかという設問です。


(解説)
a:血小板数が低下すると、出血時間は延長します。

b:血小板数が低下しても、PTには影響はありません。なお、PTは、prothrombin time(プロトロンビン時間)のことであり、PT時間という表現は不適切です(「PT時間」→「PT」または「プロトロンビン時間」が適切です)。

c:血小板数が低下しても、APTTには影響がありません。なお、APTTは、activated partial thromboplastin time(活性化部分トロンボプラスチン時間)のことであり、APTT時間という表現は不適切です(上記と同様です)。

d:血小板数が低下しても、ビリルビン値には影響ありません。

e:血小板数が低下しても、ビタミンB12には影響ありません。



(確認事項)

出血時間の延長をきたす病態
1)    血小板数の低下
2)    血小板機能の低下
3)    血管壁の脆弱性

特に、出血時間は2)のスクリーニング検査としての意義が大きいです。

血小板無力症、von Willebrand病、Bernard-Soulier症候群、NSAID内服、尿毒症などで、血小板機能が低下して、出血時間が延長します。

なお、血友病、ビタミンK欠乏症は出血性疾患ですが、上記1)2)3)のいずれにも相当しないために、出血時間は正常です。



(正答)a



<リンク>
金沢大学血液内科・呼吸器内科HP

金沢大学血液内科・呼吸器内科ブログ

研修医・入局者募集

血液凝固検査入門(図解)

播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解)

 

投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:46| 医師国家試験・専門医試験対策