金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2015年07月14日

出血と血栓の両者がみられる疾患

平成27年度 血液内科学系統講義試験
細胞移植学(血液内科)
平成27年7月14日 火曜日:験時間 16時00分〜17時00分(60分間)


問題紹介です。

出血と血栓の両者がみられる疾患・病態として誤っているのはどれか。1つ選べ。


a.    電撃性紫斑病

b.    HELLP症候群

c.    高ホモシステイン血症

d.    本態性血小板血症(ET)

e.    ヘパリン起因性血小板減少症(HIT)



(解説)
a. プロテインCが著減して、皮膚の微小循環レベルで微小血栓が多発し、二次的に紫斑をきたします。
先天性プロテインC欠損症(ヘテロ接合体)に、ワルファリンを内服してもこの病態になります。

プロテインCはビタミンK依存性のために、ワルファリン内服によって活性が低下します。
先天性プロテインC欠損症(ヘテロ接合体)の患者さんがワルファリン内服すると、プロテインCは著減して(0%に近づいて)血栓傾向をきたします。

b. HELLP症候群は、H:hemolysis、EL:elevated liver enzyme、LP:low plateletの所見がみられます。TMA(thrombotic microangiopathy、血栓性微小血管障害症)の一つです。血小板が低下して出血傾向にもなりますが、本態は血管内皮障害と血小板血栓の多発です。

c. 高ホモシステイン血症では血栓傾向になります。

d. 本態性血小板血症(ET)では血小板数が増加して血栓傾向になりますが、血小板機能が低下しているために出血傾向にもなります。

e. HITでは血小板数が低下して出血傾向もきたしますが、HIT抗体によって血小板活性化をきたし血栓症をきたします。

 


 (正答) c
 

 

投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:48| 医師国家試験・専門医試験対策