2015年07月15日
抗リン脂質抗体症候群(APS)の診断と治療
平成27年度 血液内科学系統講義試験
細胞移植学(血液内科)
平成27年7月14日 火曜日
問題紹介です。
典型的な抗リン脂質抗体症候群(APS)に関する記載内容として、正しいものはどれか。1つ選べ。
a. 血小板数、PT、APTTが全て正常であればAPSを否定できる。
b. 動脈血栓症では心筋梗塞が最も多い。
c. 静脈血栓症では脳静脈洞血栓症が最も多い。
d. 不育症の女性に対しては、ワルファリン内服が有効である。
e. APS患者血漿:コントロール血漿=1:1の混合血漿で、凝固時間の延長が是正されない。
(解説)
a. 血小板数、PT、APTTが全て正常であっても、抗カルジオリピン抗体またはループスアンチコアグラントが陽性であれば、抗リン脂質抗体症候群(APS)と診断されます。
ただし、APTTが正常であれば、力価の高いループスアンチコアグラントは否定的でしょう。力価の低いループスアンチコアグラントであれば、APTTが正常のことは多々あります。
b. APSは、動脈血栓症では脳梗塞が最も多いです。
c. 静脈血栓症ではでは、深部静脈血栓症(DVT)が最も多いです。次いで、肺塞栓です。
d. ワルファリンは催奇形性のために、挙児希望の女性は内服できません。アスピリン内服やヘパリン皮下注で対処します。
e. APS患者血漿:コントロール血漿=1:1の混合血漿で、凝固時間の延長が是正されないために、インヒビターパターンになります。
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:21| 医師国家試験・専門医試験対策