骨髄腫患者におけるM蛋白の止血・血液凝固検査への影響
論文紹介です。
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「骨髄腫患者におけるM蛋白の止血への影響」
著者名:Huang H, et al.
雑誌名:Blood Coagul Fibrinolysis 26: 555-559, 2015.
<論文の要旨>
多発性骨髄腫の患者ではしばしば止血異常が検出され、これらの止血異常の機序は検討すべき課題です。
著者らは、多発性骨髄腫のタイプ別または病期別に出血性素因や凝固障害を調べて、これらの状況の違いによって、パラプロテイン濃度がどのように影響するか検討しました。
2012年1月から2014年4月の間に新たに診断された多発性骨髄腫101名において、止血スクリーニング検査とM蛋白濃度を後方視的に解析されました。
その結果、出血性素因と、骨髄腫のタイプや国際ステージングシステム(ISS)による病期との間で有意差は見られませんでした。
しかし、多くの患者(77.7%)でトロンビン時間(TT)の延長が観察され、軽鎖濃度と正相関しました(p<0.01)。
プロトロンビン時間(PT)の延長は、軽鎖型と比較してIgA型およびIgG型の多発性骨髄腫でより明らかでした。
病期の進行とともに、PTは著明に延長しました。
Mタンパク濃度は、PTが正常の症例よりもPTが延長した症例において、有意に高濃度でした(p<0.01)。
多発性骨髄腫では、D-ダイマーの上昇もみられました。
フィブリノゲン値はM蛋白濃度と負相関しました。
しかし、APTTは、多発性骨髄腫のタイプ、病期、M蛋白濃度、軽鎖濃度との間に関連はありませんでした。
軽鎖型骨髄腫では他のタイプと比較してTT延長が高頻度にみられました。
M蛋白濃度は、PTに対して明らかに影響を与えていました。
PT延長は、IgA型およびIgG型骨髄腫でより高頻度でした。
ただし、凝血学的な止血異常があることと、臨床的な出血症状は関連がありませんでした。
<リンク>
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:54| 出血性疾患