金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2015年08月08日

インヒビター保有血友病Aとバイパス製剤予防投与

論文紹介です。

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インヒビター保有血友病Aに対するバイパス製剤の予防投与

著者名:Leissinger CA, et al.
雑誌名:Blood 126: 153-159, 2015.


<論文の要旨>


血友病患者においてインヒビターを発症すると、出血に対して標準的な凝固因子補充療法で治療することが困難になるため、インヒビター保有患者の治療対策は重要な課題です。


インヒビター保有患者は、出血コントロールが困難となり、合併症とくに関節症や身体障害のリスクが高くなります。


インヒビター保有血友病患者を対象とした3つの臨床試験では、バイパス製剤による予防治療は、関節出血やその他の部位の出血を減少させて、オンデマンド療法と比較して健康関連QOLを改善することを証明しました。


インヒビターを保有していない血友病患者では、関節内出血を繰り返す前に第VIII因子製剤または第IX因子製剤による予防治療を開始することは、関節症の進行を阻止することができます。

一方で、同じことがバイパス製剤についても言えるかどうかは、今後の検討課題です。



<リンク>
血液凝固検査入門(図解シリーズ)

播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:49| 出血性疾患