金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2015年08月16日

免疫寛容導入療法の国際研究およびインヒビター保有血友病A

論文紹介です。

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免疫寛容導入療法の国際研究およびインヒビター保有血友病Aの日本患者におけるフォローアップ研究」

著者名:Yoshioka A, et al.
雑誌名:Int J Hematol 101: 362-368, 2015.


<論文の要旨>

インヒビター保有血友病A患者における免疫寛容導入療法(I-ITI)の国際研究は、115名の被験者の合計のうち、16名の日本人患者が含まれていました。


これらの日本人患者の結果は、I-ITI臨床研究終了11例、I-ITI臨床研究継続中 3例、予防治療に寛容2例でした。

低用量群と高用量群との間には、成功率に有意差はみられませんでした(臨床試験I)。


続いて、同意が得られた14症例において日本の独立した追跡調査が行われました(臨床試験II)。

10例は、I-ITI研究終了時に臨床研究が終了していました。

これら10例のうち、7例の成功例のうち7例が追跡調査の終了時点でも臨床的成功状態を維持しており、部分的な成功状態だった1例は2回目の再発中に完全成功状態となり、失敗した1例はその後に部分的な成功例と診断されました。

I-ITI研究終了時に、臨床試験中であった4症例は、追跡調査研究終了時点で、3例は成功、1例は失敗と評価されました。


以上、追跡調査の終了時点で以下の結果となりました: ITI成功11例(78.6%)、部分的成功1例、失敗1例、再発1例。

このように、ITIの追跡調査は、インヒビターの長期予後を知るのに有用であった。


<リンク>
血液凝固検査入門(図解シリーズ)

播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:35| 出血性疾患