金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2015年08月28日

ITP:TPO受容体作動薬への変更

論文紹介です。

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「ITPにおいてTPO受容体作動薬に変更した場合の臨床転帰」

著者名: González-Porras JR, et al.
雑誌名:Br J Haematol 169: 111-116, 2015.


<論文の要旨>

慢性免疫性血小板減少症(ITP)患者において、副腎皮質ステロイド、リツキシマブ、他のトロンボポエチン受容体作動薬(TPO-RA)から変更されて、現在エルトロンボパグあるいはロミプロスチムで治療されている場合の、実臨床における治療パターンや臨床転帰について検討した報告です。


対象はITP280例であり、変更後治療の内訳はエルトロンボパグ治療中が130例、ロミプロスチム治療中が150例です。

有効性に関連する問題(期待する血小板数の増加がみられないまたは前治療への反応の欠如)が、すべての患者で治療変更の主な理由でした(エルトロンボパグ54%、ロミプロスチム57%)。


最後の来院時の血小板数は、エルトロンボパグ治療、ロミプロスチム治療のいずれであっても、それらの薬物による治療開始時の血小板数と比較して改善していました。


エルトロンボパグ治療とロミプロスチム治療間において臨床転帰には有意差はみられませんでした。


以上、著者らの検討結果は、最初のTPO-RA治療で効果が不十分な場合、他のTPO-RAへの切り替えが有益である場合があり得ることを示していました。


<リンク>
血液凝固検査入門(図解シリーズ)

播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:11| 出血性疾患