慢性難治性の自己免疫性出血病FXIII/13
論文紹介です。
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「臨床的寛解3年間後の出血で死亡した慢性難治性の自己免疫性出血病FXIII/13患者の報告」
著者名:Kotake T, et al.
雑誌名:Int J Hematol 101: 598-602, 2015.
<論文の要旨>
第XIII因子に対する自己抗体が出現することで発症する自己免疫性出血病FXIII/13(AH13)は、これまでは稀な疾患と考えられてきましたが、少なくとも日本では21世紀になって増加してきています。
83歳の女性が、原因不明の筋肉内血腫と高度の貧血のために著者らの病院に入院しました。
患者のFXIII活性は、正常値の10%にまで減少していました。
FXIIIインヒビターおよびFXIIIサブユニットAに対する自己抗体が検出されたため、患者はAH13と確定診断されました。
心膜出血による心タンポナーデを発症したにもかかわらず、リツキシマブとシクロホスファミドによる免疫抑制療法とFXIII濃縮製剤による止血治療によって、臨床的にはAH13から回復しました。
しかし、患者のFXIII活性は低値が持続して、入院5年後に出血のため死亡しました。
以上、AH13は慢性の難治性出血性疾患になりやすく、長期間にわたって十分に管理する必要があると考えられました。
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:28| 出血性疾患