血小板減少症:ITP鑑別とIPF%またはRP%
論文紹介です。
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「骨髄産生低下による血小板減少症とITPの鑑別におけるIPF%またはRP%測定の意義」
著者名:Sakuragi M, et al.
雑誌名:Int J Hematol 101: 369-375, 2015.
<論文の要旨>
特発性血小板減少性紫斑病(ITP)の診断は、鑑別診断に基づいて行われています。
フローサイトメトリーによる網状血小板(RP)割合の測定(%)は、補助診断検査として有用ですが、この方法は時間を要する研究室レベルの検査です。
日々の臨床に有用な代替アッセイを検討するために、著者らは以下の3つの方法を比較しました:1)幼若血小板比率(IPF %)(XE-2100、シスメックス)、2)新しいXN-1000により測定されたIPF%(XN)、3)RP %。
対象は、ITP47例、骨髄産生抑制による血小板減少症28例(再生不良性貧血18例、化学療法に伴う血小板減少症10例)、健常対照80例です。
溶血の影響を調べるために発作性夜間血色素尿症(PNH)16例の検討も加えました。
その結果、IPF%(XN)はIPF%(XE)と比較すると、より良い同時再現性を示しました。
ITP診断のための感度と特異度は、IPF %(XE)は83.0、75.0%、IPF%(XN)は85.1、89.3%、RP%は93.6、89.3%でした。
PNH患者の検討では、溶血または赤血球破砕はIPF%(XE)には影響を与えましたが、IFP%(XN)には影響を与えませんでした。
以上、ITPの補助診断検査として、XN-1000によるIPF%の測定は、RP%に匹敵する価値を有するものと考えられました。
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:22| 出血性疾患