2015年09月13日
日本血栓止血学会DIC診断基準暫定案(11)新DIC基準
日本血栓止血学会DIC診断基準暫定案を考える(11)新DIC基準
日本血栓止血学会DIC診断基準暫定案を考える(インデックス)
詳細はこちら:http://www.jsth.org/committee/pdf/DIC_3.pdf
<新しいDIC診断基準> 新基準
表3 日本血栓止血学会DIC診断基準暫定案
注)
・ (※1):血小板数>5万/μLでは経時的低下条件を満たせば加点する(血小板数≦5万では加点しない)。血小板数の最高スコアは3点までとする。
・ FDPを測定していない施設(Dダイマーのみ測定の施設)では、Dダイマー基準値上限2倍以上への上昇があれば1点を加える。ただし、FDPも測定して結果到着後に再評価することを原則とする。
・ プロトロンビン時間比:ISIが1.0に近ければ、INRでも良い(ただしDICの診断にPT-INRの使用が推奨されるというエビデンスはない)。
・ トロンビン-アンチトロンビン複合体(TAT)、可溶性フィブリン(SF)、プロトロンビンフラグメント1+2(F1+2):採血困難例やルート採血などでは偽高値で上昇することがあるため、FDPやD-ダイマーの上昇度に比較して、TATやSFが著増している場合は再検する。即日の結果が間に合わない場合でも確認する。
・ 手術直後はDICの有無とは関係なく、TAT、SF、FDP、D-ダイマーの上昇、ATの低下などDIC類似のマーカー変動がみられるため、慎重に判断する。
・ (※2)肝不全:
ウイルス性、自己免疫性、薬物性、循環障害などが原因となり「正常肝ないし肝機能が正常と考えられる肝に肝障害が生じ、初発症状出現から8週以内に、高度の肝機能障害に基づいてプロトロンビン時間活性が40%以下ないしはINR 値1.5 以上を示すもの」(急性肝不全)および慢性肝不全「肝硬変のChild-Pugh分類BまたはC(7点以上)」が相当する。
・ DICが強く疑われるが本診断基準を満たさない症例であっても、医師の判断による抗凝固療法を妨げるものではないが、繰り返しての評価を必要とする。
アルゴリズムによってどの診断基準を適用するか決定された後に、表3を用いてDICの診断を行います。
基本型では、血小板数、FDP、フィブリノゲン、プロトロンビン時間比、AT活性、凝固活性化関連分子マーカー(TAT、SF ないしは F1+2上昇)の結果を用いてスコアリングを行います。
造血障害型では血小板数をスコアリングしないことを明示しており、感染症型ではフィブリノゲンをスコアリングしません。
肝不全では3点減じることを表中でも明記してあります。
AT活性は旧基準では採用されていなかった検査項目ですが、新たに採用されています。
AT活性が70%以下であれば1点のスコアを与えます。
凝固線溶系分子マーカーも旧厚生省DIC診断基準(旧基準)では、スコアリング項目としては採用されていなかった検査項目ですが、新基準において新たに採用されました。
基準範囲上限の2倍以上でれば1点を与えています。
肝不全に関しては、急性肝不全と慢性肝不全を含んでいます。
急性肝不全は、厚生労働省難治性の肝・胆道疾患に関する調査研究班が「劇症肝炎」に代わる新しい「急性肝不全」の診断基準を作成しているので、それを採用しています。
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:46| DIC