2015年11月03日
症例から学ぶDIC(2)症例1の臨床経過
症例(1)
症例から学ぶ播種性血管内凝固症候群(DIC)(インデックス)
<臨床経過>
臨床経過もふまえて、尿路感染症から、急性腎盂腎炎をきたし、さらに敗血症、ショックにまで至っている。
本症例に対して線溶抑制型DICの診断のもと、抗生剤とともに低分子へパリン(LMWH)とAT製剤による加療を開始した。
AT製剤投与のためにAT活性は上昇しているが、4病日までは血小板数はさらに低下し、FDPはさらに上昇した。
血小板数とFDPを見たのみではDICは悪化していると判断するのが適当かもしれない。
しかし、DICの本態である凝固活性化マーカーを評価するトロンビン-アンチトロンビン複合体(thrombin-antithrombin complex:TAT)が確実に低下していたために、この治療法は有効と考えて同治療を継続したところ、その後に血小板数は回復しFDPも低下した。
なお、この症例時代には、また遺伝子組換えトロンボモジュリン製剤が登場していなかったが、現在この症例に遭遇していたらトロンボモジュリン製剤を選択していたと思われる(AT製剤も併用したい)。
症例から学ぶ播種性血管内凝固症候群(DIC)(インデックス)
<リンク>
血液凝固検査入門(図解シリーズ)へ
播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)へ
金沢大学血液内科・呼吸器内科HPへ
金沢大学血液内科・呼吸器内科ブログへ
研修医・入局者募集へ
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:36| DIC