症例から学ぶDIC(5)症例1:治療効果判定とTAT
症例(1)
症例から学ぶ播種性血管内凝固症候群(DIC)(インデックス)
<治療効果判定上の注意点>
重症感染症に合併したDICにおいては、血小板数やFDP、D-ダイマーの推移のみで治療効果を判断しますと誤判断します。
治療効果判定の落とし穴といえるでしょう。
血中TATは、DIC診断のみならず治療効果の判断という観点からも優れたマーカーと言えます。
もしも本症例でTATの測定を行っていなければ治療が無効と誤判断して、治療法の変更など不適切な対応をしていたかも知れません。
血小板数の低下や、FDPおよびD-ダイマーの上昇もDICに特徴的な所見ではありますが、決してDICの本態を反映している訳ではありません。
DICの本態は、著しい凝固活性化であるため、治療効果の判定もTATやSFなどの凝固活性化マーカーで行うというのは、理にかなっています。
血中SFもTATと同じ位置付けになりますが、管理者らは最近TATとSFが乖離することが多々あることを実感しています。
TATが軽度上昇に留まるにも関わらず血中SFが著増する例は予後不良であり、逆にTATが明らかに上昇するにも関わらず血中SFが軽度上昇に留まる例は予後良好である印象を持っていますが、この点は今後の研究課題になりうると考えられます。
症例から学ぶ播種性血管内凝固症候群(DIC)(インデックス)
<リンク>
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:10| DIC