金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2016年02月05日

金沢大学第三内科 <血栓止血研究室> 直接経口抗凝固薬

金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)同門会報からです。

今回は、研究室紹介です。


<血栓止血研究室> 直接経口抗凝固薬

本年も、直接作用型経口抗凝固薬(direct oral anticoagulant:DOAC、旧名称:NOAC)に触れておきたいと思います。

現在日本で使用可能なDOACは4剤あります。

具体的には、ダビガトラン(プラザキサ)、リバーロキサバン(イグザレルト)、アピキサバン(エリキュース)、エドキサバン(リクシアナ)です。

4剤とも、非弁膜症性心房細動に対して処方可能ですが、エドキサバン、リバーロキサバン、アピキサバンは、VTEにも処方可能です(本稿執筆時点)。

エドキサバンは、VTEに対して最初に保険収載されたため、現時点ではVTEに対して最も使用されているDOACではないかと思います。


当科にコンサルトいただくVTEは、そのかなりの割合が担癌患者さんです。

おそらく全国的にも担癌患者でのVTEに対して、DOACの処方件数が多いものと推測しています。

経口抗凝固薬としてワルファリンしかなかった時代には、コントロールに大変苦慮しました。

化学療法にともなって食事摂取量が大きく低下することも多く、また白血球数低下に伴い感染症を併発しますと抗生剤を使用します。

そのような場合にはワルファリンの効果が強くなりすぎました(高度の出血症状の出現でコンサルトいただいたことも多いです)。

DOACではこのような懸念がありません。


また術前検査の中でVTEが発見されることも多いですが、ワルファリンですとコントロールに入いる前に手術のタイミングになってしまったり、あるいはコントロールに入ってまもなく手術にそなえてワルファリンを中断する必要がありました。

こんな場合であっても、DOACであれば、投与当日から効果を発揮しますし、手術直前まで投与しても大丈夫です(DOACの半減期は半日のため)。


(続く)金沢大学第三内科 <血栓止血研究室> インデックス

 

<リンク>
血液凝固検査入門(図解シリーズ)
播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:40| 血栓止血(血管診療)