超高齢社会を見据えた未来医療予想図(17)サルコペニア
金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)同門会報からです。
今回は、特別講演です。
飯島勝矢先生 特別講演
(金沢大学第三内科同門会総会・開講記念会:平成27年6月21日)
超高齢社会を見据えた未来医療予想図(17)
〜フレイル予防からケアまでを俯瞰した地域包括ケアシステム構築〜」
<サルコペニア>
サルコペニアっていうのは造語です。
サルコはマッスル、ペニアは目の前の現象が減ることです。
サルコ(マッスル)がペニアするサルコペニアです。
ヨーロッパが基準出しましたが、アジアの我々のサルコペニアのワーキンググループは、特に歩行速度を非常に遅く設定しています。
そうすると日本全国でサルコペニアはいないという話になってしまいます。
横断歩道ギリギリ渡れますか、みたいな話になっちゃいます。
そうすると予防を徹底的にやるには、もっと早めに意識付け、気づかせないといけないので、ワーキンググループではなるべくアジアとしての特徴を出そうと去年と今年でやっています。
<BMIパラドックスとサルコペニア>
BMIパラドックスという言葉を、私はよく使いますが、BMIではもう語れない世界になってまいります。
例えば、Aさんは前期高齢者で、BMI26ですと、健康診断ではあなたちょっと太り気味ねと言われます。
そうすると今日から夕飯は当然腹八分目だよと言われます。
同じ年齢のBさんは、BMI22ですと中肉中背ですばらしいですねと言われます。
しかし、大腿と下腿をCTスキャンで切ってみると梅干しのように大腿と下腿の筋肉が縮まっていて筋肉量が非常に少ないです。
ですが、BMIの数字を見ると、ちょうどいいね、となってしまいます。
メタボ対策の事を考えれば、オーバーウェイトになっちゃいけないよとBMIは使います。
しかし、中身、体組成をみてみるとBMIでは物語れない世界も出てくる。
サルコペニアは要介護の入り口と言われています。
当然転倒骨折しやすくなります。
サルコペニアというのは手足の骨格筋量と言われていますので、といっても手足の骨格筋量が少ない方で腹筋がマッチョなんて方はいらっしゃらないので、手足の骨格筋量を計ると基本的に体幹全体の筋肉量も少なくて、転倒骨折で要介護になるケースがあります。
そして外出頻度が減って、認知機能にも影響が出てきます。
(続く)
★ 本稿は、東京大学 高齢社会総合研究機構 飯島勝矢先生のご講演をを拝聴した事務局が原稿化したものです。もし内容に不正確な部分があった場合には当事務局の責任ですので、ご容赦お願いします。
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:36| その他