超高齢社会を見据えた未来医療予想図(18)プレフレイル
金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)同門会報からです。
今回は、特別講演です。
飯島勝矢先生 特別講演
(金沢大学第三内科同門会総会・開講記念会:平成27年6月21日)
超高齢社会を見据えた未来医療予想図(18)
〜フレイル予防からケアまでを俯瞰した地域包括ケアシステム構築〜」
<戦略研究>
介護予防事業の行き詰まり感があって、どういう風にメスを入れて行くのか、特に今、介護予防事業は地域でもっと自発的に考える色合いになっています。
そこで実はこれも柏市フィールドで厚労科研の下で活動しましたが、柏スタディーという戦略研究をしてきました。
戦略研究という言葉は既にご存知の先生方も多いかもしれませんが、これは若手の先生方に意図的にお伝えしたいと思います。
戦略研究は、実は答えは分かっています。
数千人のデータベースで解析してみないと分からないですが、やりたい方向性の答えは既に決まっています。
どういう事かと言うと、僕自身のこの柏スタディーの戦略研究の位置づけは、「しっかり動こう」「しっかり噛んで食べよう」そして「しっかり社会参加」という三味一体です。
それを今一度、国民運動論として下ろしても、東大の飯島が一大学のアカデミアの立場のうるさいやつが言ってるだけでしょ、という反応になります。
そうならないように、いかに厚労省から下ろすかって事で考えています。
つまり、やりたい運動論は決まっていて、そこから逆算してどのような研究デザインを組むかということになります。
<プレフレイル>
まず、中年層のメタボは除外して、高齢者のみでしかも要介護一歩手の方を対象にしました。
シビアフレイルの方も除外です。
つまり、生活に困っていないけど、言われてみればそうだよね、っていう些細な衰えをどのように市民側にストンと落とされるのか、いわゆるプレフレイルを包括に合わせました。
プレフレイルの方々にチラシを配って、あなたプレフレイル気をつけてねといっても市民が振り向くはずがありません。
必ず慣れが働きます。
握力を計って楽しかったという人はいません。
やはり、目新しさ、斬新さ、楽しさ、へーって感じ、これ何みてるんですか一体?というのがないと市民は振り向きません。
これらをどのように作り込んで行くかです。
市民目線での簡易評価法に着目しました。
市民目線で私はこうだけど、あなたはこうだ、私よりあなたの方がプレフレイルかも、という風な会話をさせることを意識しました。
ですから、我々専門職がいなくても市民同士のコミュニティーベースでどう会話させるのかですが、そこには知恵のついた市民サポーターが必要となってきます。
(続く)
★ 本稿は、東京大学 高齢社会総合研究機構 飯島勝矢先生のご講演をを拝聴した事務局が原稿化したものです。もし内容に不正確な部分があった場合には当事務局の責任ですので、ご容赦お願いします。
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:10| その他