超高齢社会を見据えた未来医療予想図(20)健常群とサルコペニア群
金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)同門会報からです。
今回は、特別講演です。
飯島勝矢先生 特別講演
(金沢大学第三内科同門会総会・開講記念会:平成27年6月21日)
超高齢社会を見据えた未来医療予想図(20)
〜フレイル予防からケアまでを俯瞰した地域包括ケアシステム構築〜」
<健常群とサルコペニア群>
いくつかのデータベースだけお知らせします。
健常群とサルコペニア群と一歩手前の予備群という風に、3群に分けました。
そうすると当然握力とか歩行速度なんてフィジカルなデータは健常群の方が上回っています。
それは当たり前、フィジカルなデータでサルコペニアか否かを決めている訳ですから。
しかし、生活の広がりによる身体活動量、食事の多様性、いかにバラエティーを持って食事をされているかどうか、あと口腔機能も10数項目取りましたが、ほとんどのデータで健常群が上回っています。
鬱傾向はサルコペニアの方が少し高いです。
転倒骨折歴も、サルコペニアの方が高いです。
あと、三味一体といっても、運動機能を何とか病院でCT撮ってきてくださいとか、採血してバイオマーカーみてくださいとか、これでは国民運動論にはなりません。
国民運動論はシンプルに行くしかありません。
栄養(食と口腔機能)、運動、社会参加の三味一体が、サルコペニアと強く関連します。簡単な質問があります。
【運動】○:1回30分以上の汗をかく運動を週2日以上、1年以上実施している
【栄養(食・口腔)】○:ほとんど毎日4食品群以上食べているand さきいか・たくあん位の固さの食べ物がかめる
【社会参加】○:サークルや団体などの組織・会に2つ以上入っている
このようなシンプルな質問の○×の掛け合わせで8つのグループに分けます。
3つともオール○の人をベースに考えますと、オールXの人は3.5倍サルコペニアの件数が高いです。
いろんな角度でロコモかどうか、鬱傾向かどうか、ここ一年の転倒歴はどうか、転倒リスクはどうだったか、そういう事をいろいろやっていると、大体このパターンです。
地域のコミュニティー、しかも地域サロンと言われるような高齢者だけが2〜30人集まって、最後にはお茶やおまんじゅうを食べて帰ると。
そういうとこでいかにさせるかというのが見越して作られています。
こういうのだけでも何となく匂いの嗅ぎ分けがわかります。
(続く)
★ 本稿は、東京大学 高齢社会総合研究機構 飯島勝矢先生のご講演をを拝聴した事務局が原稿化したものです。もし内容に不正確な部分があった場合には当事務局の責任ですので、ご容赦お願いします。
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:22| その他