超高齢社会を見据えた未来医療予想図(22)共食と孤食
金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)同門会報からです。
今回は、特別講演です。
飯島勝矢先生 特別講演
(金沢大学第三内科同門会総会・開講記念会:平成27年6月21日)
超高齢社会を見据えた未来医療予想図(22)
〜フレイル予防からケアまでを俯瞰した地域包括ケアシステム構築〜」
<共食と孤食>
指輪っかの三群比較を科学的に行いますと、インピーダンス法ではかる手足の骨格筋量も明らかに違いました。
フィジカルなデータだけではなく、食事摂取量や、口腔データも大分違います。
そして、生活の広がりとか、共食(いつも誰かと飯を食べる)も関連しています。
共食は指輪っかの1)群で多いです。
逆に、3)の群には孤食が多くて、三食共1人で食べているおじいちゃん、おばあちゃんが多い事がわかっています。
新聞やニュースで2025年問題、独居高齢者、お一人暮らしをどうするのか、というタイトルの記事がよく出ます。
シビアフレイルの独居高齢者もいますが、一方でお友達関係が豊富で、今日も明日も友達と上野の松坂屋に行っている方もいらっしゃるんです。
一括りに独居高齢者の問題が厳しいという訳にはいきません。
実は、同居家族がいるにも関わらず、三食とも孤食という方がある程度の割合でいらっしゃいます。
そのような方のデータが一番悪いです。
鬱傾向も4倍高い、歩行速度も遅い、歯の数も少ない、粗食力も悪い、食品多様性も非常に悪い、という結果になっています。
これは我々ドクターだけではなくて、コミュニティーの健康作りの場でも、「同居家族での孤食化」という観点でみられてこなかったと思います。
これは、行政も含めて大きな課題だと思います。
サルコペニアを最終アウトカムとして、いろんな仮説を立てて、統計学的にどれが一番説得力が高いか検討すると、やはり社会性の落ちることが上位にきます。
そこが、孤食であり、人との付き合いであり、つながりや生活の広がりのなさです。
ロコモ予防教室だけをバッシングするつもりはありませんが、半年間に12回参加するようなロコモ予防教室では、どこまで変われるのか疑問です。
やはり、全部の高齢者が三位一体じゃないですけど、全部を改めて勉強すべきで、口腔データが悪い高齢者に歯科衛生士さんが介入すればいいわけではありません。
全部を全員が勉強するべきと思っています。
(続く)
★ 本稿は、東京大学 高齢社会総合研究機構 飯島勝矢先生のご講演をを拝聴した事務局が原稿化したものです。もし内容に不正確な部分があった場合には当事務局の責任ですので、ご容赦お願いします。
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:42| その他