金沢大学・血液内科・呼吸器内科
※記事カテゴリからは過去の全記事をご覧いただけます。
<< 前のエントリトップページ次のエントリ >>
2016年07月18日

止血機序・一次止血・二次止血

平成28年度血液内科学系統講義試験
細胞移植学(血液内科)
平成28年7月13日(水)


問29.次の文章を読み、下線を記した中で正しいものはどれか。1つ選べ。


血管が破綻すると血管外のコラーゲンが露出してそれに対して血小板が集まってくるが、この現象を血小板凝集(a)と言う。

さらに多くの血小板が集合するが、これを血小板粘着(b)と言う。

血小板凝集(a)時に血小板とコラーゲンの間を埋める、言わば糊とも言える成分をvon Willebrand因子(vWF)、血小板粘着(b)時の糊にあたる成分がフィブリノゲンである(ここまでが一次止血)。


血小板を反応の場として多くの凝固因子が集まり、最終的にはプロトロンビン(c)という鍵とも言える酵素が産生される。

プロトロンビン(c)がフィブリノゲンをフィブリンに転換すると凝固が完結し止血に至る。

形成されたフィブリン分子を分解(d)するのが第XIII因子(e)である(ここまでが二次止血)。


(解説)


a. 血小板粘着である。
b. 血小板凝集である。
c. トロンビンである。
d. 重合(あるいは、架橋結合、クロスリンク)
e. 第XIII因子で正しい。

フィブリン分子を分解する作用は二次止血ではなく、線溶です。
問題文には(ここまでが二次止血)と書かれていますので、「フィブリン分子を分解する」は、明らかに間違った記載と判断することができます。

この設問では、(ここまでが二次止血)の記載も、ポイントになっています。


(正解)e


 <リンク>
血液凝固検査入門(図解シリーズ)
播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

金沢大学血液内科・呼吸器内科HP

金沢大学血液内科・呼吸器内科ブログ

研修医・入局者募集

投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:18| 医師国家試験・専門医試験対策