2017年01月03日
伝統と文化のまちづくり(6)歴史・伝統の保存 3
金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)同門会:平成28年7月17日(日)東急ホテル
伝統と文化のまちづくり: 山出保前金沢市長(インデックス)
特別講演
「伝統と文化のまちづくり」(6)歴史・伝統の保存 3
石川県中小企業団体中央会会長、前金沢市長
山出 保
<職人大学校 —1996年開校>
古い建造物等を残して行こうとすると、大工とか壁屋とか植木屋とか、石屋とか、こういう職人の技を大切にしなければいけないのです。
「職人大学校」というものをつくりました。
私は20年間市長をしましたけど、自分で言うのはおかしいですが、この仕事が一番よかったなぁと自分なりに思っています。
この間、永六輔と言う方が亡くなられました。
永六輔さんは岩波新書に金沢の職人大学校のことを書きまして、「金沢の職人大学校は文化の危機管理だ」という言い方をして下さいました。
私は有難いなと本当にそう思った次第です。
こういう職人たちをちゃんと残していく必要があります。
この職人たちは、昼に働くのです。
夜にここへ来て、勉強するわけです。
大工は、昼は請負会社へ行って家をつくるわけです。
しかし、一般の家の屋根はまっすぐですが、お寺とか、お社の屋根は反るのですから、反らすテクニックを知らなければいけません。
金沢にお茶室がたくさんあります。
しかし、お茶室はただ何気なく出来るわけではありません。
やろうとすると、お茶のルールを知らなければいけません。
お茶のルールを知って初めて、お茶室が出来るわけですので、そういう意味でこの職人大学校は単に建物を建てる、壁を塗る、そういう職人を養成するのではないのです。
高度なテクニックを教えるためにこういうものをつくったのです。
私は、これは金沢だからできるのだと思っています。
教える人が今はいますから、出来たと思っています。
よその町ではこんなこと簡単にできません。
こういう職人たちといっしょに仕事をしますと、私も親しくなりまして、どういうことを私に言うかというと、その時は市長ですから、「市長、市長、あんたの言う通り勉強しとる。仕事がほしい」こう言うことを私に言う。
「うん、わかるなぁ。しかし職人というのはあんまりお金を欲しがらないものや」こういうふうなことを言ったりして、楽しいんであります。
ちょうど、県がお城の中で長屋をつくったり、櫓をつくったり、塀や門をつくったりしましたので、あそこへ行ったんです。
あそこの仕事をしました。
これはやはり良い勉強になりますので、大変喜びました。
先程言いましたが、お城の仕事は終わりだと言うことになりますと、職人はこれからどうするか、と言うことです。
市長を辞めてもこう言うことを考えているのですから、考えようによっては可哀想な山出です。(笑)
私は金沢には古い民家がたくさん残っている。
あれを改造して、何にするかって言ったら、住居にしてもいいし、工房にしてもいいし、レストランにしてもいいし。
そういうことがこれからの金沢の大事な仕事になると思っているのです。
そして、新幹線も来ましたから、東京からやはり知恵を呼んでくるというのが金沢の大事な仕事になると思います。
クリエーター、アーティスト、デザイナー、プランナー、こういう人たちを呼んで、学者も呼ぶのです。
そしてその知恵でこれからこの金沢を元気にして行くということがいいのではないだろうか、こんなことを思っているわけです。
古いことばかりする山出とおっしゃると私もちょっと困りますので、こんな新しいことも考えていると申し上げます。
伝統と文化のまちづくり: 山出保前金沢市長(インデックス)
<リンク>
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:23| その他