金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2017年07月20日

輸血関連問題

平成29年度 血液内科学系統講義試験

平成29年7月12日 水曜日 試験時間 16時00分〜17時00分 (60分間)


問30.    診断時にHLA適合同胞ドナーの検索が望ましい症例はどれか。2つ選べ。

a.    19才、中等症再生不良性貧血
b.    24才、ホジキンリンパ腫再発
c.    42才、フィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病
d.    49才、多発性骨髄腫
e.    51才、高リスク骨髄異形成症候群   



問31.    急性GVHDの重症度を判定する際に評価の対象となる臓器はどれか。3つ選べ。


a.    肺
b.    肝臓
c.    腎臓
d.    皮膚
e.    消化管   



問32.    血液型の検査結果を表に示す。この患者の血液型はどれか。1つ選べ。


患者検体 血球 血球 血球 血清 血清
試薬 抗A血清 抗B血清 抗D血清 A型血球 B型血球
凝集の有無 あり なし あり なし あり


a.    A型、RhD陽性
b.    A型、RhD陰性
c.    B型、RhD陽性
d.    B型、RhD陰性
e.    O型、RhD陽性   




問33.    血液製剤の取り扱いについて正しいのはどれか。1つ選べ。

a.    赤血球濃厚液は20〜24℃の室温で保存する。
b.    新鮮凍結血漿は使用する前日に融解しておく。
c.    濃厚血小板は2〜6℃の冷蔵庫で振盪保存する。
d.    新鮮凍結血漿は−20℃の冷凍庫に1年間保存した後に使用する。
e.    血小板濃厚液の有効期間は採血後4日間(採血初日を1日目とする)である。   



問34.    患者からインフォームド・コンセントを得る際の説明事項として正しいのはどれか。1つ選べ。


a.    栄養状態が悪いので高張アルブミン製剤を投与する。
b.    ABO型およびRhD型の血液型が一致した赤血球濃厚液を輸血すれば、溶血の副作用は生じない。
c.    赤血球濃厚液輸血後の副作用・合併症は、生物由来製品感染等被害救済制度の対象になることがある。
d.    特発性血小板減少性紫斑病患者では、血小板数が2万/μL未満になったら予防的に血小板輸血を行う。
e.    血液センターの血液製剤は、全てNAT検査が行われようになってから、HIV感染症のリスクはなくなった。   




問35.    18才の高校生。

通学途中で自動車にはねられ高度救命救急センターに搬送された。意識は混濁。身長176 cm、体重 60 kg、脈拍 124/分、整、血圧 74/58mmHg、骨盤骨折と診断し緊急手術となった。術後、集中治療室に収容した。入室時、脈拍82/分、整、血圧 116/78mmHg、中心静脈圧は5mmHgであったが、Hb値は6.0 g/dLであった。Hb 10 g/dLを目標に赤血球輸血をすることとした。何単位の投与が必要か。
ただし、赤血球濃厚液1単位は献血200 mL由来(Hb 14 g/dL)とする。

a.    3単位
b.    6単位
c.    9単位
d.    12単位
e.    15単位   



問36.    ABO major不適合輸血について誤った記載はどれか。1つ選べ。


a.    血管外溶血である。
b.    溶血の原因に補体系の活性化が関与している。
c.    輸血量が50 mL以内であれば救命可能である。
d.    発症要因としては、製剤の取り違えミスが最も多い。
e.    IgMクラスの抗Aあるいは抗B抗体が赤血球に結合することが発症の引き金となる。   




(正答)

問30 c、e

問31 b、d、e

問32 a

問33 e

問34 c

問35 b

問36 a


 <リンク>
血液凝固検査入門(図解シリーズ)
播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:22| 医師国家試験・専門医試験対策