金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2018年07月09日

金沢大学血液内科学系統講義試験:骨髄腫、白血病など

平成30年度血液内科学系統講義試験の問題紹介と正答です。
(平成30年7月9日 月曜日)

赤字が正答です。


問12.    52歳女性。

頚部リンパ節の生検で、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫と診断された。
FDG-PET/CTでは両側頚部・左腋窩・腸間膜にそれぞれ3センチ大のFDG異常集積を伴うリンパ節が認められたが、リンパ節以外にFDG異常集積病変は無かった。
入院前日まで仕事と家事を普通にこなしていた。
体重減少や寝汗は認めていない。
骨髄生検では骨髄浸潤の所見はみられなかった。
LDHは420 IU/l(基準176〜353)、可溶性IL-2レセプター 2500 IU/ml(基準127〜582)であった。

この患者のアグレッシブリンパ腫の国際予後指標(International Prognostic Index: IPI)(1項目1点)を求めよ。

国際予後指数( 2 )点



問13.    骨髄腫について誤っているものはどれか。


(1)    t(14;16)の染色体異常を有する例は予後良好である。
(2)    G-Bandingによる染色体検査では染色体異常の検出率が高い。
(3)    骨病変対策として用いるビスフォスフォネート製剤の重大な副作用は顎骨壊死である。
(4)    重篤な合併症がなく心肺機能が正常な65歳以下の症例は、自家末梢血幹細胞移植の適応である。
(5)    血清アルブミン値と血清2ミクログロブリン値を組み合わせることによって予後予測が可能である。

a. (1)(2)  b. (2)(3)  c. (3)(4)  d. (4)(5)  e. (1)(5)



問14.    多発性骨髄種の診断において骨髄腫診断事象(MDE: myeloma-defining event)の臓器障害に含まれるのはどれか。

(1)    貧血
(2)    腎不全
(3)    骨病変
(4)    心不全
(5)    アミロイドーシス

a. (1)(2)(3) b. (1)(2)(5) c. (1)(4)(5) d. (2)(3)(4) e. (3)(4)(5)



問15.    ミエロペルオキシダーゼ(MPO)染色陽性、特異的エステラーゼ染色陰性、非特異的エステラーゼ染色が陽性であった場合に考えられる疾患はどれか。1つ選べ。

(1)    赤白血病
(2)    急性単球性白血病
(3)    急性骨髄単球性白血病
(4)    急性巨核芽球性白血病
(5)    最未分化型急性骨髄性白血病



問16.    フローサイトメトリーによる表面マーカー解析が診断に有用でない疾患はどれか。1つ選べ。

(1)    多発性骨髄腫
(2)    骨髄異形成症候群
(3)    急性リンパ性白血病
(4)    慢性リンパ性白血病
(5)    慢性骨髄性白血病(慢性期)



問17.    急性白血病に関する記述で正しいものはどれか。


(1)    成人では骨髄性よりリンパ性の方が多い。
(2)    FLT3遺伝子変異を伴うと予後良好である。
(3)    一部の病型はDown症候群に合併しやすいことが知られている。
(4)    Core binding factor白血病に対し大量シタラビン(Ara-C)療法が有効である。
(5)    WHO分類で急性骨髄性白血病と診断する際の芽球の割合は30%以上である。

a. (1)(2)  b. (2)(3)  c. (3)(4)  d. (4)(5)  e. (1)(5)



問18.    疾患名とその疾患に特徴的な染色体異常、遺伝子異常の結びつきで誤っているものはどれか。1つ選べ。

(1)    慢性骨髄性白血病 − t(9;22)
(2)    急性前骨髄球性白血病 − t(15;17)
(3)    本態性血小板血症 − JAK2遺伝子のV617変異
(4)    好酸球増多を伴う急性骨髄単球性白血病 − inv(16)
(5)    真性多血症/真性赤血球増加症 − CALR遺伝子変異



問19.    疾患名と検査所見の結びつきで誤っているものはどれか。1つ選べ。


(1)    骨髄線維症 — 涙滴赤血球
(2)    急性前骨髄球性白血病 — Auer小体
(3)    急性単球性白血病 — 尿中リゾチーム高値
(4)    慢性骨髄性白血病 — 末梢血中の幼若顆粒球
(5)    真性多血症/真性赤血球増加症 — エリスロポエチン高値



問20.    疾患名と症状・身体所見の結びつきで誤っているものはどれか。1つ選べ。


(1)    原発性骨髄線維症 − 巨脾
(2)    慢性骨髄性白血病 − 歯肉腫脹
(3)    急性前骨髄球性白血病  − 出血傾向
(4)    真性多血症/真性赤血球増加症 − 血栓症
(5)    本態性血小板血症 − 無症状のことが多い(健診等で偶然指摘)



問21.    慢性骨髄性白血病の治療に通常用いない薬剤はどれか。

(1)    イマチニブ
(2)    ニロチニブ
(3)    ダサチニブ
(4)    アナグレリド
(5)    ルキソリチニブ

a. (1)(2)  b. (2)(3)  c. (3)(4)  d. (4)(5)  e. (1)(5)

 

<リンク>

血液凝固検査入門(図解シリーズ)
播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:40| 医師国家試験・専門医試験対策