金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2018年07月09日

金沢大学血液内科学系統講義試験:血栓止血関連検査

平成30年度血液内科学系統講義試験の問題紹介と正答です。
(平成30年7月9日 月曜日)


問22.    下記の疾患または病態のうち、検査所見の記載が誤っているものはどれか。1つ選べ。

    出血時間 PT APTT Fbg TT
(1)  老人性紫斑 正常 正常 正常 正常 正常
(2) 血小板無力症 延長 正常 正常 正常 正常
(3) アスピリン内服 延長 正常 正常 正常 正常
(4)  第V因子インヒビター 正常 延長 延長 正常 低下
(5)  先天性第XII因子欠損症 正常 正常 延長 正常 正常


PT:プロトロンビン時間
APTT:活性化部分トロンボプラスチン時間
Fbg:フィブリノゲン
TT:トロンボテスト




(解説)

(1)    老人性紫斑では、全ての血液凝固検査が正常である。
(2)    血小板無力症 では血小板機能が低下しているため、出血時間は延長する。
(3)    アスピリン内服 では、血小板機能が低下するため、出血時間は延長する。
(4)    第V因子インヒビター では、PT、APTTともに延長する。TT(トロンボテスト)はヘパプラスチンテスト(HPT)と同様に、VII、X、IIの3つの凝固因子を反映している。第V因子インヒビター では、TTは正常である。PTとTT(またはHPT)の乖離現象は診断に有用である。
(5)    先天性第XII因子欠損症では、APTTは延長するが、PTは正常である。



(正答)(4)   

 



<リンク>

血液凝固検査入門(図解シリーズ)
播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 02:41| 医師国家試験・専門医試験対策