2018年07月09日
金沢大学血液内科学系統講義試験:ヘパリンと血小板数低下
平成30年度血液内科学系統講義試験の問題紹介と正答です。
(平成30年7月9日 月曜日)
問29. 82歳の女性。
【主訴】全身倦怠感、嘔気。
【現病歴】
60歳代に腎機能低下を指摘され、70歳代より高血圧の治療を受けている。
尿毒症に起因すると思われる全身倦怠感、食欲低下、嘔気を認め、入院となった。
【入院時検査所見】
BUN 90 mg/dL、クレアチニン 6.97 mg/dLより透析の必要な腎不全と診断。
カテーテルを留置して透析を週に3回行った。
なお、カテーテル留置後は毎日ヘパリンロック(ヘパリンを使用してカテーテルが血栓で閉塞しないようにする手技)を実施した。
10日後、血小板数減少が顕著となった(19.8万/μlから6.8万/μl)ため、ヘパリン使用を中止した。
本症例における血小板数減少の精査に最も有用な検査はどれか。1つ選べ。
(1) 骨髄穿刺
(2) HIT抗体
(3) クームス試験
(4) 血中トロンボポエチン
(5) PAIgG(血小板結合性IgG)
(解説)
本症例は、ヘパリン起因性血小板減少症(略称:HIT)の症例である。
HIT抗体は重要な検査であるため、しっかりインプットして置きたい。
(1) 骨髄穿刺:行う必要はない。
(2) HIT抗体:極めて重要な検査である。ヘパリン起因性血小板減少症を疑ったら、まず行う検査である。
(3) クームス試験:溶血の鑑別診断に行う検査である。
(4) 血中トロンボポエチン:ITP、再生不良性貧血などの鑑別に有用な場合がある。
(5) PAIgG(血小板結合性IgG):ITP診断の参考になる場合がある。
(正答)(2)
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 02:25| 医師国家試験・専門医試験対策