2009年3月12日
組織因子(TF)と異物:血液凝固検査入門(12)
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人間の血液は、2つの方法で固まることができます(2つの方法でしか固まることができません)。
1) 組織因子(tissue factor:TF)による凝固:
外因系凝固活性化機序と言います。組織因子は、昔は組織トロンボプラスチンと言った歴史があります。
TF産生細胞は複数知られていますが、代表は、血管内皮細胞と、単球/マクロファージです(LPSやサイトカインの刺激によって、これらの細胞からTFが過剰発現します)。
たとえば、重症感染症である敗血症では、LPSやサイトカインがフル稼働状態ですので、血管内皮細胞や、単球/マクロファージから大量のTFが産生されることになります。その結果、外因系凝固が活性化されて播種性血管内凝固症候群(DIC)を発症します。
2) 異物(陰性荷電による凝固):
内因系凝固活性化機序と言います。たとえば、採血をして血液を試験管に入れますと、血液は凝固します。これは、試験管という異物に接することにより血液が凝固するのです。
内因系、外因系と言う言葉の響きから、内因系凝固活性化機序の方がより重要と思われるかもしれません。しかし、実は逆なのです。
止血という生理も、血栓症という病理も、外因系凝固活性化機序の方がより重要な働きを演じていると言うことができます。
このように、人間の血液は2つの方法で凝固するのですが、その2種類の凝固を臨床検査室の試験管レベル(in vitro)で再現しようとした検査が、以下の2つの検査です。
1) プロトロンビン時間(prothrombin time:PT)
2) 活性化部分トロンボプラスチン時間(activated partial thromboplastin time:APTT)
人間の凝固を臨床検査室レベルで再現したこれらの検査は、まさに凝固の基本中の基本の検査と言えると思います。
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 05:31 | 凝固検査 | コメント(0) | トラックバック(0)