APTT延長の解釈:血液凝固検査入門(23)
APTTの延長:血液凝固検査入門(22)から続く。
第21回日本検査血液学会学術集会(金沢2020年):血栓止血関連プログラムも豊富です。
APTT(活性化部分トロンボプラスチン時間)が延長する疾患は多数ありますが、注意すべき点は出血性疾患のみでなく血栓性疾患もあること、そして、deficiency(凝固因子の産生低下)とinhibitor(循環抗凝血素)の両者の可能性があることです。
このように、APTTが延長している時の解釈は混沌としていると思います。
APTTが延長する出血性疾患は、以下の通りです。
1)血友病A、血友病B(deficiency)
2)von Willebrand病(deficiency)
3)後天性血友病(inhibitor)(第VIII因子インヒビター)
4)ビタミンK欠乏症(deficiency)
5)その他
APTTが延長する血栓性疾患は、以下の通りです。
1)ループスアンチコアグラント(inhibitor):抗リン脂質抗体症候群の診断に抗カルジオリピン抗体とともに不可欠です。
2)先天性XII因子欠損症(deficiency)
3)その他
このように混沌としたAPTT延長を解釈するにはどうすれば良いのでしょうか。
この後の方向性を決めてくれるのが、クロスミキシング試験です。詳細に関しましては、次回になりますが、最近保険収載されましたので、今後院内で検査する施設が急増するものと考えています。
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(続く)
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 06:55 | 凝固検査 | コメント(0) | トラックバック(0)