L-アスパラギナーゼ(ロイナーゼ)と血栓症、DIC
L-アスパラギナーゼ(L-asparaginase:ロイナーゼ)は、急性リンパ性白血病などのリンパ性悪性疾患に対して使用される抗腫瘍薬です。
本薬は肝での蛋白合成を抑制しますが、それを反映して凝固第V、VII、VIII、IX、X、XI、フィブリノゲンといった凝固因子活性が低下します。加えて、凝固阻止因子であるアンチトロンビン、プロテインC、プロテインSも低下しますので、出血・血栓のいずれにも傾斜しやすい不安定な血栓止血病態となります。
従来、脳梗塞、深部静脈血栓症、肺塞栓などの報告が見られています。
小児科の急性リンパ性白血病を対象としたメタ解析によりますと、血栓症の発症頻度は5.2%と報告されています(1,752症例での検討)(文献←クリック)。
ほとんどの例で寛解導入療法時に血栓症を発症しています。また、L-アスパラギナーゼ(ロイナーゼ)を少量長期間投与する場合に特に発症頻度が高くなっているようです。
凝固異常の程度が強い場合は、新鮮凍結血漿により、凝固因子、凝固阻止因子の両者を補充し、血栓止血のバランスを安定化させることで対応可能です。
なお、管理人は、L-アスパラギナーゼ(ロイナーゼ)によりDICを発症した症例を経験しています。
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 05:59| DIC | コメント(0)