PICとは?(血液凝固線溶関連の検査)
PIC
正式名称:
プラスミン-α2 プラスミンインヒビター複合体
(plasmin-α2 plasmin inhibitor complex: PIC)
正常値:
<0.8 μg/mL
意義:
プラスミンとその代表的な阻止因子であるα2 プラスミンインヒビター(α2 PI)が1:1結合した複合体がPICです。PICにより、生体内における線溶活性化の程度を評価することができます。
線溶活性化に伴い産生される最終的な酵素はプラスミンですが、プラスミンの一部は速やかにα2 PIと結合して、プラスミン-α2 プラスミンインヒビター複合体(PIC)
が形成され、プラスミン自身は不活化されます。
プラスミンの血中半減期は極めて短いため直接測定することは不可能ですが、PICの血中半減期は数時間であるため測定することが可能です。
血中PIC濃度を測定することで、採血時の凝固活性化の程度を知ることができます。
上昇する病態:
1)DIC、DIC準備状態
2)深部静脈血栓症(DVT)、肺塞栓(PE)
3)線溶療法(t-PA、ウロキナーゼ)
施行時
4)その他の線溶活性化状態
低下する病態:
なし。
関連マーカー:
PICが著増する病態では(たとえば線溶亢進型DIC)、α2PIは著減することが多いです。プラスミノゲンも軽度〜中等度低下します。
典型的な線溶亢進型DIC(旧:線溶優位型DIC)でのマーカーの変動を下記します。あくまでも目安です。肝不全の有無、炎症反応の強さにより必ずしも下記とおりにはなりませんので、念のため補足します。
PIC>10.0 μg/mL
プラスミノゲン 60〜80%
α2PI 30〜50%
TAT 20〜50 ng/mL
アンチトロンビン 100±20%
臨床に役立つお役立ち情報:
PICはDICの病型分類に有用なマーカーです。おおよそ以下のような目安になります(TATが高値であることは大前提)。
線溶亢進型DIC:典型例では、PIC>10.0 μg/mL
(ただし、7〜8μg/mL以上でも、線溶亢進型の病型と思われる例も少なくないです)
線溶抑制型DIC:典型例では、PIC<2〜3 μg/mL
線溶均衡型DIC:上記の中間
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 06:40| 凝固検査 | コメント(0)