播種性血管内凝固症候群(DIC):DICの病型分類、TAT、PIC(図解15)
今回のスライドは既にこのブログで登場済みですが、ストーリー展開の関係上、再掲いたします。また、記事の内容も以前のものとは違う内容で書かせていただきます。
DICの本態は全身性持続性の著しい凝固活性化状態(TATの上昇で反映されます)です。この点は、全DICに共通した病態です。しかし、線溶活性化の程度(PICの上昇で反映されます)は基礎疾患によって相当の差異がみられます。
線溶抑制型DIC(旧名称:凝固優位型DIC):
線溶阻止因子PAIが著増するために、線溶に強い抑制がかかります(PICの上昇はごく軽度です)。多発した微小血栓溶解の結果として血中に出現するDダイマーは微増に留まります。臨床的には臓器症状は重症ですが、出血症状は比較的軽度です。代表的基礎疾患は、敗血症です。
線溶亢進型DIC(旧名称:線溶優位型DIC):
線溶阻止因子PAIは微増にとどまるために、線溶に対する抑制はありません(PICの上昇は高度です)。Dダイマーの上昇は明らかです。フィブリンのみならずフィブリノゲンの分解も進行すると、FDP/DD比は高値となります(DD/FDP比は低値となります)。臨床的には出血症状は重症ですが、臓器症状はほとんどみられません。代表的基礎疾患は、急性前骨髄球性白血病(APL)、腹部大動脈瘤、転移性前立腺癌などです。
線溶均衡型DIC:
上記2病態の中間的病態となります。進行例を除きますと出血症状や臓器症状などの臨床症状はあまりみられません。固形癌に合併したDICに代表されます。
このDIC病型分類の考え方は、DICの診断にも、治療法の適切な選択の上でもとても重要と考えています。
そういう意味でも、DICの疑われた症例では、TAT、PICの測定は不可欠と言うことができます。
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 06:40| 播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解) | コメント(0) | トラックバック(0)