2008年11月18日
播種性血管内凝固症候群(DIC):動物DICモデルへ(図解16)
臨床で経験するDICが多様であり、線溶抑制型、線溶均衡型、線溶亢進型に病型分類されることを前回書かせていただきました。
私たちは、まず臨床でのDIC病型分類から入りましたが、原点に立ち戻ってDICモデルにおいても用いるDIC惹起物質によってDICの病態は異なるのではないかと考えて一連の検討を行ってまいりました。
DIC病態は試験管レベルで再現することはできませんので、DICの基礎的検討は動物モデルを用いて検討されてきました。DIC惹起物質として最も頻用されてきたのがlipopolysaccharide(LPS)です。その他には、組織因子(tissue factor:TF)やトロンビンが用いられた検討もあります。
世界的には敗血症に合併したDICが注目されていることと関連してか、DICモデル作成にはLPSを惹起物質として用いたものが圧倒的に多用されてきました。しかし、用いるDICモデルによって病態が異なる可能性は十分にあり、もしその場合には有効な治療手段も変わってくる可能性すらあります。
私たちは、LPS誘発DICモデルと、TF誘発DICモデルの病態を比較してみることにしました。比較検討した項目は、凝血学的グローバルマーカー・分子マーカー、臓器障害マーカー、炎症性サイトカイン、出血所見、病理所見、死亡率などです。
このようなDICの基礎的検討の結果は、またDICの臨床に生かされる(フィードバックされる)ものと思っているところです。
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 06:44| 播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解) | コメント(0) | トラックバック(0)