播種性血管内凝固症候群(DIC):動物DICモデル比較(図解17)
前回のDIC(図説)記事からの続きです。これまでのDIC(図説)記事は右サイドカテゴリーからご覧いただけます。さて、それではLPS誘発DICモデルと、組織因子(TF)誘発DICモデルを比較してみましょう。
典型的なDIC(進行したDIC)症例で最も目立つ臨床検査所見は、血小板数の低下やフィブリノゲンの低下ではないかと思います。モデルではどうでしょうか?
上図のように、LPSモデルにおいてもTFモデルにおいても血小板数が明らかに低下しています。フィブリノゲンは後半リバウンドしますが、やはり低下します。つまり、両モデルにおいて確かに消費性凝固障害(consumption coagulopathy)の病態になっています。
DICの本態は、全身性持続性の著明な凝固活性化状態です。凝固活性化マーカーのTATはどうなっているでしょうか。両モデルにおいてTATが著増していることが分かります。
このように、血小板数、フィブリノゲン、TATだけで評価しますと、両モデルとも著明な凝固活性化を伴った消費性凝固障害のモデルです。つまり典型的なDICモデルです。
ということは、両モデルは同じ病態なのでしょうか?
いいえ、違います。単に、血小板数、フィブリノゲン、TATによる病態把握には限界があるということだけです。
さて、どのような方法で、両モデルの違いを見抜くことができるでしょうか?
続く。。。
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 20:04| 播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解) | コメント(0) | トラックバック(0)