2008年11月27日
播種性血管内凝固症候群(DIC):LPS誘発DICモデル(図解18)
DIC(図説)シリーズの続きです。LPS誘発DICモデルと、組織因子(TF)誘発DICモデルの比較についてです。今までの「DIC(図説)」記事は右サイドカテゴリーからご覧いただけます。
臨床で遭遇するDICには多様性があるように、DICモデルにも多様性があるのではないかと思い、私たちは一連の検討を行ってきました。
前回の記事で書かせていただいたように、血小板数、フィブリノゲン、TATからのみでは、両モデルの差異を見いだすことはできませんでした。
しかし、Dダイマーと線溶阻止因子であるプラスミノゲンアクチベーターインヒビター(PAI)を見ますと両モデルの大きな差異を見いだすことができます。
まず、LPS誘発DICモデルです。
LPS誘発DICモデルでは、PAIが過剰発現している点が注目されます。そのために線溶に強い抑制がかかりますので、血栓が溶解しにくい病態になります。
血栓が溶解されにくいために、Dダイマー(フィブリン溶解産物)はあまり上昇しないのが特徴です。
実は、TFモデルとLPSモデルでのDダイマーの上昇度があまりにも違うので変だと思ったところが、両モデルでの比較検討を行ったきっかけです。私たちにとって、この意味でもDダイマーは感慨深いものがあります。
なお、DICの図解シリーズの今までの記事は、右の記事カテゴリーの
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 05:48| 播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解) | コメント(0) | トラックバック(0)