診断フローチャート:咳嗽の診断と治療(6)
咳嗽の発症機序:咳嗽の診断と治療(5)からの続編です。
【遷延性咳嗽と慢性咳嗽の各論】
8週間以上持続する慢性咳嗽では、95%以上の症例において診断と治療が可能です。
しかし、一般臨床では、咳嗽の持続期間が8週間以上では長すぎる(現実的ではない)と考えられるため、遷延性咳嗽と慢性咳嗽を合わせて解説したいと思います。
1.遷延性咳嗽&慢性咳嗽の原因疾患
主な原因疾患ないし原因に関しては以前の記事を参照いただければと思います(遷延性咳嗽 & 慢性咳嗽:咳嗽の診断と治療(4))。
感染後咳嗽、百日咳、肺炎クラミジア、マイコプラズマなどの感染症による遷延性咳嗽が抗菌薬治療によって軽快せず、8週間以上持続する場合には、これらの感染症がトリガーとなって慢性咳嗽の原因疾患が発症したと判断すべきです。
決して漫然と抗菌薬治療を継続してはいけないのです。
2.遷延性咳嗽&慢性咳嗽の診断
疾患の診断は病態的に行うのが正当ですが、咳嗽の分野は発展途上であり、病態把握のための検査は普及していません。
したがって現状では、頻度の多い原因疾患、治療法の特異性、治療効果の即効性などを加味した治療的診断に頼らざるを得ません(上図を参照)。
ただし、咳嗽には自然軽快やプラセボ効果があり有効と判定してしまうこと、逆に治療抵抗性(難治性)の症例では診断不能となってしまうことが重大な問題であり、治療的診断から病態的診断への脱却が不可欠です。
(続く)
【シリーズ】 咳嗽の診断と治療
1)ガイドライン
3)急性咳嗽
5)咳嗽の発症機序
7)咳喘息
10) 胃食道逆流症(GERD)
11)慢性咳嗽&ガイドライン
【関連記事】 好酸球性下気道疾患
2)咳喘息
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慢性咳嗽の診療
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【リンク】金沢大学血液内科・呼吸器内科関連
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 07:21| 咳嗽ガイドライン | コメント(0) | トラックバック(0)