血栓止血の生理と病態:血液凝固検査入門(1)
血液内科と出血性&血栓性疾患:血液凝固検査入門(序)から続く。
前回に予告させていただいたように、血液凝固検査入門をシリーズでお届けしていきたいと思います。
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血液凝固検査に関しては、とっつきにくいと感じておられる方と、自分は得意だという方に二分されるのではないかと思います。このシリーズでは、前者の方を対象にしてシリーズを進めていきたいと思います。
想定している読者の方は、医学部学生、医療関係学部/学科の学生、研修医、血液専門ではない臨床医、検査技師、薬剤師、看護師などです。血液凝固を得意とされている方は、このシリーズはスキップしていただければと思います。
血液は、正常な場合には図では上向きの矢印になります。すなわち、左上の矢印のように正常な場合には凝固せずに循環しますし、右上に行く矢印のように血管外では凝固して止血(hemostasis)します。
この当然と思っている現象が時に破綻する場合があります。図では下向きの矢印です。
すなわち、左下の矢印のように血管内であるにもかかわらず凝固したり(血栓:thrombosis)、右下の矢印のように血管外に出ても凝固しない(異常出血)ことがあります。
歴史的には、右下へいく病態が注目されました。やはり出血というイベントは目に付きやすいです。例えば、血友病、von Willebrand病、血小板無力症などが相当します。
今も出血性疾患の臨床や研究はとても重要ですし、実際に優れた臨床研究、基礎研究が世界に発信されています。しかし、現代に生きる人間においては、左下にいく矢印、すなわち血栓症の発症頻度は極めて高く、その克服は、出血性疾患の克服とともに、人類に課せられた大きなテーマの一つとなっています。
凝血学的検査(血液凝固検査)を理解し駆使できる能力は、上記のような出血性疾患や血栓性疾患の診断、病態把握、診療において最も重要な要素と言うことができます。是非とも、血液凝固検査を駆使できる能力を身につけたいものです。
(続く)
血小板と凝固因子:血液凝固検査入門(2)
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 06:37| 凝固検査 | コメント(0) | トラックバック(0)