金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2009年03月31日

FDP&Dダイマー(D dimer)とは:血液凝固検査入門(29)

ループスアンチコアグラント検査の必要性:血液凝固検査入門(28)から続く。

第21回検査血液学会学術集会(金沢2020年):DICのシンポジウムあり

参考書籍リンク:しみじみわかる血栓止血 Vol.1 DIC・血液凝固検査編  ←  クリック

 
 
血液凝固検査29



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FDPやDダイマーは大変重要な検査です。病態によっては、プロトロンビン時間(PT、PT-INR)や、活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)よりもはるかに重要でしょう。FDP&Dダイマーは、既にこのブログでも複数回登場済みですが、今回は血液凝固検査入門シリーズの中での登場となります。

FDPは、フィブリン/フィブリノゲン分解産物(fibrin/fibrinogen degradation products)の略称です。そして、Dダイマー(D dimer)は、フィブリン分解産物の方の細小単位です。

FDPには、フィブリン分解産物もフィブリノゲン分解産物も含まれるのですが、通常はフィブリン(血栓成分)分解産物がほとんどです。


組織因子の作用によって凝固活性化を生じますと、最終的にトロンビンというkey enzymeが形成されます。このトロンビンの作用によってフィブリノゲンがフィブリンに転換いたしますと血栓が形成されます。

その血栓を溶解しようという作用が線溶(fibrinolysis)です。

血管内皮からt-PA(組織プラスミノゲンアクチベータ)が産生されますと、肝で産生されたプラスミノゲンに作用してプラスミンに転換させます。このプラスミンは、血栓(フィブリン含有)を分解してFDP(Dダイマー)とします。

ですから、FDPやDダイマーが上昇しているというのは、凝固活性化によって血栓が形成されて、かつその血栓が溶解したということを意味しています。つまり、FDPやDダイマーが上昇しているというのは、凝固活性化も線溶活性化も進行したということを意味しています。



凝固活性化も線溶活性化も進行する病態として有名なのが、播種性血管内凝固症候群(DIC)や、深部静脈血栓症(DVT)です。DICDVTでは、血栓が形成されてそして溶解しているということになります。



なお、t-PAに対して阻止的に作用するPAI(プラスミノゲンアクチベータインヒビター)が過剰に産生される病態では、線溶に強いブレーキがかかるために、血栓が形成されてもあまり溶解せずにFDPやDダイマーは軽度上昇にとどまります。


なお、FDPとDダイマーの違いにつきましては、以下の記事をご参照いただければと思います。
播種性血管内凝固症候群(DIC):FDPとDダイマーの違い(図解27)


また、PAIの役割につきましては、以下の記事をご参照いただければと思います。
播種性血管内凝固症候群(DIC):線溶阻止因子PAIの役割(図解13)
:PAIの変動(敗血症、癌、白血病など)(図解14)


DICとFDP&Dダイマーにつきましては、以下の記事をご参照いただければと思います。
播種性血管内凝固症候群(DIC):基礎疾患とFDP(図解28)
同:基礎疾患とFDP、Dダイマー(図解29)
:多臓器不全(MOF)の有無とFDP(図解30)
:FDP(Dダイマー)低値の意味(図解33)
:FDP(Dダイマー)低値の別の意味(図解34)
DICで、FDP(Dダイマー)の上昇しない意義(図解35)



(続く)
Dダイマーと血栓症:血液凝固検査(30)

【関連記事】

<特集>播種性血管内凝固症候群(図説)クリック(シリーズ進行中!)





PT-INRは、以下の記事も御参照いただければと思います。
PT(PT-INR)とは? 正常値、ワーファリン、ビタミンK欠乏症
PT-INRとは(正常値、PTとの違い、ワーファリン)?
 
関連記事(リンクしています)
TAT
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PT(PT-INR)とは?
PT(ワーファリン)&トロンボテスト
APTT
クロスミキシング試験
Dダイマー
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・NETセミナー:血栓症と抗血栓療法のモニタリング

投稿者:血液内科・呼吸器内科at 05:14| 凝固検査 | コメント(0)

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