金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2009年04月04日

マントル細胞リンパ腫、FDG-PET:悪性リンパ腫アカデミー(1)

2009年3月14&15日の両日、M.D. Anderson Cancer Center(MDACC)のProf. Hagemeisterらを講師に招いて開かれた、2009 Malignant Lymphoma Academy(中外製薬後援)がありました。印象に残った内容を報告します。



マントル細胞リンパ腫(MCL)の診断についてDr. Medeirosのレクチャー)

1.診断はFISHによる t(11;14)の検出。表面マーカー解析や組織病理のみでは誤診につながる。

 ・t(11;14)はFISH法が90-95%と最も検出感度が高い。一方PCR法では、t(11;14)は転座部位が複数箇所あるため検出感度が30-50%と低い。

・マントル細胞リンパ腫の組織像は多彩で、病理検体のみではLBL、DLBCL、MZL、CLL、PLL、splenic lymphoma with villous lymphocyteとの鑑別が問題になることがある。

・マントル細胞リンパ腫以外に組織免疫染色でcyclinD1が陽性になりうる疾患としては、Hairy cell leukemia、MM、CLL/SLL(-/+)、DLBCL(〜5%)があり注意が必要。


2.マントル細胞リンパ腫は診断時高頻度に消化管に浸潤している。

診断時消化管病変症状を認めたのは26%であったが、内視鏡検査にて上部消化管浸潤を54%、下部消化管病変を88%に認めた。また上部および下部消化管浸潤を病理学的に診断されたそれぞれ45%、88%は肉眼的に粘膜の異常を認めなかった(Romaguera et al. Cancer 97:586-591, 2003)。


3.マントル細胞リンパ腫のほとんど(94%)は、t(11;14)以外の染色体異常を有しており、gene expression profilingは予後を層別化する。

・実際の臨床ですぐに評価可能なものとしては、Ki-67(MIB-1)indexが高い例は予後不良です(R-CHOP: Blood 111:2385,2008; HyperCVAD: Cancer 115:1041,2009)。






FDG-PET検査について
Dr. Proのレクチャー

 FDG-PETは非常に有用であるが、リンパ腫の病型や解決すべき技術的な問題などのため、その評価法には前向きな検討が必要。

・FDG avidity
Routinely avid- HL、DLBCL、FL、MCL
Variably avid- MZL、CLL/SLL、T-cell、cutaneous B- and T-cell lymphomas

実際M.D. Anderson Cancer Center(MDACC)では、DLBCL、HL、MCLの場合、治療前、化学療法中(2コース後)、治療後にFDG-PETを施行していますが、治療中のFDG-PET結果でその後の治療方針の変更はないそうです。治療終了後のフォローアップにもFDG-PETは用いていません。

一方FLでは、bulky病変やLDH高値などtransformationが疑われる例などで必要に応じて治療前にFDG-PETを施行するのみで、staging目的でも積極的にFDG-PETをすることは無いようです。化学療法中や治療後にもFDG-PETを施行していません。

FDG-PETは治療後の予後評価に有用ではありますが、どの時点で評価するのが最もいいのでしょうか(2008年ASHのCashenらの報告では6コース後)。

現時点では治療後早期のFDG-PETの結果をもってその後の治療法の変更をすべきではない、また疑陽性の頻度も高く、残存病変をみた場合にはFDG-PETで評価せず積極的な生検での確認が必要という理解です。


(続く)





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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 06:39| 血液内科(標本) | コメント(0) | トラックバック(0)

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