金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2009年04月26日

トランサミン(2):作用機序、半減期、保険適応

トランサミン(1):線溶とは  から続く

 

 【作用機序】

トラネキサム酸(tranexamic acid、商品名:トランサミン)は、血中で分解されますと、2分子のイプシロンアミノカプロン酸となります。これらの、トラネキサム酸とイプシロンアミノカプロン酸は同様の機序により抗線溶作用を発揮しますが、トラネキサム酸の方が強力です。

両薬はリジンと類似した構造を有し(リジン誘導体)、プラスミノゲンのリジン結合部位と結合して、プラスミノゲンのフィブリンへの吸着を阻止することで抗線溶作用を発揮します。

また、本薬とプラスノゲンの複合体は血中半減期が短いため連用することで血中プラスミノゲン活性が低下していきますが、このことも抗線溶作用機序となっています。



【半減期】

トラネキサム酸の血中半減期は、1〜1.5時間であり、3〜4時間以内に腎から排泄されます(腎代謝)。換言しますと、腎機能障害がある場合には、血中半減期が長くなることに注意が必要です。



【保険適応】

トラネキサム酸の保険適応は、全身性線溶亢進が関与すると考えられる出血傾向、局所線溶亢進が関与すると考えられる異常出血、湿疹及びその類症、蕁麻疹、薬疹・中毒疹における紅斑・腫脹・掻痒、咽喉頭炎・扁桃炎における咽頭痛・発赤・充血・腫脹、口内炎における口内痛及び口内粘膜アフタです。

トラネキサム酸は、内服薬、注射薬の両薬が存在しますが、内服薬は外来治療用として用いて、注射薬は入院治療薬として用いることが多いです。


さて、上記のような保険適応疾患に対する効果の程度には議論のあるところですが、それとは別に、トラネキサム酸が最も効果を発揮する病態、逆に、絶対に投与してはいけない病態があります。

それは。。。

(続く)
トランサミン(3):有効な病態

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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 06:37| 出血性疾患