金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2009年05月31日

後天性血友病(3):基礎疾患、症状

前回記事(後天性血友病(2):病態、疫学、発症率)からの続きです。

 

後天性血友病3
 

後天性血友病(Acquired Hemophilia)


【基礎疾患】

後天性血友病の基礎疾患としては以下のような疾患が知られています。換言しますと、後天性血友病症例に遭遇した場合に、以下の疾患が隠れていないかどうかチェックする必要があります。

ただし、精査しても基礎疾患がはっきりしないことも少なくないようです。


1. 自己免疫疾患(免疫関連疾患)

関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、側頭動脈炎、潰瘍性大腸炎、皮膚筋炎、多発性筋炎、シェーグレン症候群、GVHD(同種骨髄移植後)、重症筋無力症、多発性硬化症、喘息、天疱瘡、非特異的皮膚炎など。

2. 悪性腫瘍:

固形腫瘍、血液腫瘍(慢性リンパ性白血病、リンパ腫など)。内科の立場では、悪性腫瘍が隠れていないかどうかは、大変気になります。

3. 妊娠、分娩:

DIC(常位胎盤早期剥離、羊水塞栓などに起因)とともに、分娩時の大出血の原因になります。

4. 高齢:

前回の記事で書かせていただいたように、この病気は若い年齢層と、高齢者に分布が分かれるのですが、3&4が理由になります。

5. 薬物:

ペニシリン、クロラムフェニコール、フェニトインおよびその他抗痙攣薬、スルホンアミド、インターフェロンα、フルダラビンなどが知られています。

6. 手術:

手術が契機になることもあるようです。

 

 

【症状】

1. 重篤な出血:

先天性血友病では、何と言っても関節内出血があまりにも有名ですが、後天性血友病では関節内出血は例外的です。むしろ、皮下出血、筋肉内出血がが特徴的です。

2. 貧血:出血に伴い貧血を来します。

3. 観血的処置後の出血遷延で気づかれる場合があります。軽症例です。

4. さらに、軽症例では術前検査で初めて発見されることもあります。

5. その他:消化器、泌尿器への出血。あるいは分娩後の出血など。

投稿者:血液内科・呼吸器内科at 09:14| 出血性疾患 | コメント(0)

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