後天性血友病(4):診断の流れ
前回記事(後天性血友病(3):基礎疾患、症状)からの続きです。
後天性血友病(Acquired Hemophilia)
後天性血友病(acquired hemophilia)診断の流れを図にしてみました。
1) 出血症状&APTTの延長:
まず、出血症状に対して血液検査を行い、活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)が延長しているところから出発になります。
後天性血友病では、その他の出血関連スクリーニング検査(血小板数、PT、フィブリノゲン、FDP、Dダイマー)は全て正常です。
von Willebrand因子(vWF)抗原量&活性も正常です。
2) クロスミキシング試験(ミキシングテスト、混合試験):
患者血漿と、正常血漿を一定の比で混合して、APTTやカオリン凝固時間(KCT)を測定します。クロスミキシング試験は、PTやAPTTの測定が可能な医療機関であればどこでも測定可能な「極めて簡単な検査」です。
保険収載されている検査でもあります。
簡単な検査とは言っても、その後の診断の方向性を決定つける極めて重要な検査でもあります。
ここで注意点があります。後天性血友病を疑った場合のクロスミキシング試験は、患者血漿と、正常血漿の一定の比で混合したのちに、必ず2時間incubationを加えることです。これを行いませんと、誤診してしまう懸念があります。
この点は、また後の記事でも触れたいと思います。
3) 第VIII因子活性の低下:
血液凝固第VIII因子活性が特異的に低下します。ただし、極めて力価の高い後天性血友病では、他の凝固因子がartifact的に若干低下して測定されることがあります。
4) 第VIII因子インヒビター活性の測定(ベセスダ単位):
これで診断が確定します。保険収載されている検査です。
(続く)
後天性血友病(5):クロスミキシング試験での2時間incubationへ
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 05:30| 出血性疾患 | コメント(0)