金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2009年06月03日

後天性血友病(5):クロスミキシング試験での2時間incubation

前回記事(後天性血友病(4):診断の流れ)からの続きです。

 

後天性血友病5
 
 
 

後天性血友病(Acquired Hemophilia)

上記の図は、過去にもアップしていますが、大変重要ですので、再掲します。

前回記事(後天性血友病(4):診断の流れ)でも書かせていただいた通り、活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)の延長が見られた場合に、次に行うべき検査が、クロスミキシング試験(cross mixing test、混合試験、ミキシングテスト)です。

この検査で、方向性が大きく変わっていきます。

Inhibitor patteranになった場合には、第VIII因子インヒビターループスアンチコアグラントを疑います。一方、Deficiency patternの場合には、先天性の血友病や、ビタミンK欠乏症、肝不全などを疑います。

ここで、大きな注意点があります。

第VIII因子インヒビターを疑った場合にはクロスミキシング試験(インヒビターの確認)が必要なのですが、この際、必ず2時間incubationを加える必要があります。

この2時間incubationを行いませんと、第VIII因子インヒビターであってもdeficiency patternになって誤診につながってしなう可能性があるのです。

 

管理人は、過去に複数の医療機関での第VIII因子インヒビターの症例をご相談うけたことがあるのですが、 2時間incubationを加えないクロスミキシング試験で評価されていたために、あやうくこの病気を見逃しそうになったという実例をお聞きしています。

 

(続く)

後天性血友病(6):止血治療、免疫抑制療法

 

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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 05:32| 出血性疾患 | コメント(0)

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