ラットDICモデルに対する抗線溶療法(図解45)
播種性血管内凝固症候群(DIC)における線溶活性化は、多発した微小血栓を溶解しようとする生体の防御反応としての意義も有しています。
この折角の防御反応を抗線溶療法(トラネキサム酸:商品名トランサミン)は抑制してしまいます。
ですから、教科書的にはDICに対する抗線溶療法は禁忌(絶対行ってはいけない治療)です。
実際、DIC症例に対して抗線溶療法を行ったところ、全身性の血栓症をきたして死亡したという報告が複数見られます(DICの治療関連の話は、このDIC図解シリーズの後半のメインテーマの一つになりますので、ここではこの程度に留めたいと思います)。
しかし、ラットDICモデルであれば、このような処置も許していただけます。DICモデルに関しましては既に記事にさせていただいていますが、念のためリンクしておきたいと思います。
DICモデルの比較
16. DICモデルへ
17. DICモデルの比較
18. LPS誘発DICモデル
19. 組織因子(TF)誘発DICモデル
20. 臓器障害の比較
21. 腎糸球体フィブリン沈着
22. 出血症状(血尿)
23. 病型分類(動物モデルとの対比)
24. 病態の共通点と相違点
さて、ここで敢えて、DICにおいて禁忌とされている抗線溶療法(トラネキサム酸:商品名トランサミン)を上記のDICモデルに対して行うことで(線溶をブロックすることで)、DICにおける線溶活性化の意義をより深く、よりしみじみと理解することができるのです。
(続く)
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 05:58| 播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解) | コメント(0)