出血傾向(紫斑、関節内出血):医学コアカリ対応(2)
出血傾向(病態):医学コアカリ対応(1)からの続き
【紫斑からみた出血傾向】
紫斑の性状によって、出血傾向が何に起因するのか絞り込める場合があります。
紫斑(purpura)の種類:
1) 点状出血(petechiae):
径1〜5mm。血小板や血管が原因の出血傾向で見られやすいのが特徴です。
2) 斑状出血(ecchymosis):
径数cm以内のものです。どちらかと言えば、凝固異常が原因の出血傾向でみられやすいです。
3) びまん性出血(suggillation):
面積の比較的大きな皮下出血。凝固異常が原因の出血傾向でみられやすいのが特徴です。
【疾患に特徴的な出血部位】
1) 関節内出血:少なくともCBTや医師国家試験で「関節内出血」のキーワードが出れば、血友病A&Bのみを考えれば良いでしょう。極めて疾患特異性の高い出血部位です。
2) 筋肉内出血:血友病や、後天性血友病(第VIII因子インヒビター)でみられやすいです。
3) 粘膜出血:具体的には、鼻出血、歯肉・口腔粘膜出血、消化管出血、血尿、女性性器出血などです。鼻出血は片側性の場合には耳鼻科疾患の可能性がありますが、両側性の場合には、出血傾向と考えます。
特に「幼少時から鼻出血がみられやすい」とくれば、von Willebrand病を強く疑うことになります。
4) 四肢末梢(特に下肢)の左右対照性紫斑:アレルギー性紫斑病(Schoenlein-Henoch紫斑病)に特徴的です。若干膨隆して触知可能なことが多いです。腹痛、関節痛、腎障害(IgA腎症)を伴うことがあります。
5) 臍帯出血:先天性第XIII因子欠損症。まれな疾患ですので、国家試験やCBTには出ないと思います。
6) 老人性紫斑:老人で前腕伸側、手背に赤紫色で境界明瞭な紫斑が出現します。しばしば部位を変えて出没します。ただし、全ての凝血学的検査は正常になります。
7) タール便(黒色便):上部消化管(胃、十二指腸など)からの出血を意味します。
(続く)
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 06:01| 出血性疾患 | コメント(0)