金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2009年09月05日

特発性血小板減少性紫斑病(ITP)とサイトメガロウイルス(CMV)

特発性血小板減少性紫斑病(ITP)の最近の論文を紹介させていただきます。

不反応性ITPの病態にサイトメガロウイルス感染症が関与することがある」
という論文です。

Br J Hematol 146: 104-112, 2009. からです。


特発性血小板減少性紫斑病(ITP)は、血小板の破壊や産生低下が原因となって血小板数が低下する疾患です。

ITPの病態が持続する場合であっても、通常はITPの特異的治療である免疫グロブリン大量療法、ステロイド、抗D抗体、摘脾術に対して反応することが多いのが特徴です。

近年、ITPの一部の症例においてサイトメガロウィルス(CMV)が病態に関与しているという、興味ある報告がみられるようになっています。

著者らは、活動性のCMV感染症を合併したITP4症例(大人2名、小児2名)を経験して報告しています。

これらの4症例は重症かつ不応性であり、血小板数も著減していました。

臨床症状としては、発熱、肝障害、好中球減少、異型リンパ球出現が見られ、通常のITP治療には不応性でしたた。

ステロイドによる治療はむしろITPを悪化させました。

しかし、これら4症例に対してガンシクロビルおよびサイトガムによるCMV治療を開始し、ステロイドを減量したところ、2週間以内に血小板数が回復しましたた。

以上、一部のITP症例ではCMVが病態に深く関与しており、CMVに対する治療が有効であると考えられます。

なお、詳細につきましては、上記論文をご覧いただければと思います。

【リンク】

血液凝固検査入門(図解シリーズ)

播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 03:56| 出血性疾患 | コメント(0)

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